
家庭菜園をしていると必ずといっていいほど悩まされるのが「虫の被害」。
中でもアブラムシは繁殖力が強く、放っておくとあっという間に作物を弱らせてしまう厄介な存在です。
でも、アブラムシの生態を知れば被害を減らすこともできます。ここでは、繁殖の仕組みや被害、そして実践できる対策方法をご紹介します。
アブラムシの驚きの繁殖方法
アブラムシは卵でも増えますが、それだけではありません。なんと クローンで増える ことができるのです。
しかも、生まれた瞬間からすでに妊娠しているという恐ろしい仕組みを持っています。そのため、1匹がわずか1か月で1万匹にまで増えることも…。
この特性から「マトリョーシカ」に例えられることもあります。
さらに、環境によっては羽を持った個体が生まれます。餌場がなくなると、新しい子孫が羽を持って現れ、次の餌場へ飛んでいくのです。
まるでSFの世界のような進化ですね。
アブラムシの特徴
- 高温・乾燥を好む
雨が少ない時期や、ベランダ・ビニールハウスの中などで発生しやすいです。 - 窒素肥料が多いと増える
窒素分の多い肥料を与えすぎると葉にアミノ酸が増え、アブラムシの大好物になってしまいます。 - 茂りすぎた葉も要注意
風通しが悪くなるとアブラムシが繁殖しやすくなるため、枝葉を間引いて日当たりを良くしましょう。
アブラムシは“植物の養分過多”に反応して集まる性質があるので、自然界ではバランスを取る役割も担っています。
アブラムシによる被害
- 養分を吸い取られる
葉をかじるのではなく、口針を刺して養分を吸い取るため、植物が栄養不足になり成長不良を起こします。 - ウイルスを媒介する
モザイク病や葉巻病など、さまざまなウイルス病に感染する可能性があります。 - すす病の原因になる
アブラムシのお尻から出る甘い分泌物がカビを呼び、葉が黒くすすけて光合成できなくなります。
アブラムシ対策の方法
1. 天敵を増やす
自然農で最も効果的なのは、アブラムシの天敵を呼び込むこと。
代表的なのはテントウムシ(ナナホシテントウ、ナミテントウ)で、彼らはアブラムシをたくさん食べてくれます。
天敵を増やすには畑に多様性を持たせることが大切。
- 畑にさまざまな種類の野菜や雑草を混在させる
- 緑肥作物(クリムゾンクローバーやソルゴーなど)を植える
こうすることで、生態系が豊かになり、自然に益虫が集まってきます。
2. 道具を使う
- 黄色の粘着テープ
アブラムシは黄色に反応する性質があるため、テープを吊るすと寄ってきます。 - キラキラした資材
銀色のビニールマルチや反射テープを使うと、水面と勘違いして近寄らなくなります。
3. 薬剤を使う
手軽で即効性がある方法です。
- 市販薬なら「オルトラン類」が有効。
- 自然派なら、唐辛子をアルコールに漬けた液を薄めてスプレー。竹酢液や牛乳スプレーも一時的には効果があります。
ただし、大量発生時には自然素材だけでは追いつかない場合もあります。
まとめ
アブラムシは厄介な害虫ですが、その存在は生態系の一部でもあります。
家庭菜園を始めたばかりの頃はアブラムシが目立ちやすいですが、時間が経つと天敵も増えてバランスが整ってきます。
根本的な対策は「農薬で駆除」ではなく、天敵が住みやすい環境づくり。
少し時間はかかりますが、自然のサイクルに任せれば被害も減っていきます。
人生100年時代、家庭菜園も気長に楽しんでいきましょう。
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